ジェンダー平等先進国 フランス

フランス生活

留学して本当に良かったと思えたことの一つに、フランス社会での女性達のライフスタイルを近くで見れたことでした。

それを目撃できたことは、私の価値観に大きな影響力を与え、今も悩んだり、問題にぶつかった時に解決のヒントになり、問題の捉え方を良い方向に変えてくれています。

何故多くのフランスの女性達はこんなにも自由で、自分の人生を楽しめるのか、その理由の一部を紹介します。

フランスと日本のジャンダー・ギャップ指数

フランスは世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)が2022年7月に公表した「The Global Gender Gap Report 2022」の中で、男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)が146カ国中15位、EU域内では5位と上位となるほど、ジェンダー平等への取り組みが達成されている国です。これに対し日本は先進国で最下位の116位であり、アジア・太平洋地域の中でも最下位の19位となっています。 

ジェンダー・バイヤスにとらわれないフランス人

日本社会は、家庭内での男女の役割、そして子供がいる家庭では、父親なんだから、母親なんだからという社会通念が少なからず存在し、それがジェンダー不平等感を生み出しているのではないでしょうか。

ジェンダーバイアスに囚われず、自分はどう生きたいのか、また自分の優先順位は何かを知ること。そして、そんな自分の心に従って生きる先に生まれる価値を知り、その生き方に責任を持つ個人主義のフランス人に、精神的な自立を感じました。

自分の意見や生き方に価値を見出していないと、積極的に自分の気持ちや考えを言葉にできず、伝えられない苛立ちから、いつしか話し合いを拒むようになってしまうのでないでしょうか。

私は、留学中、大勢での話し合いの場で、日本人が自分の意見をあまり言わない場面に遭遇することが多くありました。

その理由が、日本人は和を大切にする国民性であると言われている事に加え、意見をぶつけ合う事に慣れていないのではないかと感じました。

長期的に良好な関係を築いて行くためには、ジェンダー・バイヤスにとらわれず、お互いの意見や考えを言葉にして伝え合い、話し合うことが大切であり、そのためには夫婦共に精神的に自立ている事が大切であるとフランス人と関わる中で気がつきました。

育休明けも活躍出来るフランス

フランス留学中、頻繁に国際結婚ファミリーの過ごしたことで、子供を持つフランス女性達と多く知り合うことができました。そして彼女達全員が仕事をしいることに驚きました。

フランスは女性の就業率が85%以上と高く、ワーキングママンはごく普通です。

フランスでは妊娠・出産を理由の解雇は法律で禁止され、育休明けの職場復帰後のポストも以前と同様であることが保証されています。

また子育てのために仕事を休むか、週3・4日勤務や半日勤務などの時短労働を自由に選択できる就労自由選択補足制度もあります。

安心して出産・育児のために休暇をとり、その後もまた活躍でできる環境が整られているのです。

お金がかからない妊娠・出産・子育て

そんなフランス社会の背景には、長い期間をかけて成功させてきた数々の家族政策による充実した出産・子育て支援があります。

例えば、フランスでは妊娠・出産にかかる費用は全ては医療保険で賄われるため、妊婦健診や出産費用は無料です。また産後のリハビリテーションや訪問看護などの充実した産後ケアも無料で受けられます。

教育費に関しても、義務教育が始まる3歳まで預ける保育園の保育料は所得の約1割であり、税金控除の対象となります。3歳以降の義務教育は高校卒業まで公立であれば無料となり、大学・大学院も約3万円程度の登録料のみで通えます。

フランスでは経済的理由で子供を持つことを諦める人はいないそうです。

子沢山でも安心

そして、産めば産むほどお得なシステムもあります。

フランスの所得税は扶養家族が多ければ多いほど減税されるN分N乗方式です。また大家族手当、住宅補助、低収入家庭補助、障害者援助、学童資材手当など、多種多様の支援があり、子供一人につき平均10種類の援助を受けることができるのです。

子育てにお金の心配がなく、夫婦が経済的自立をしていれば、それは夫婦の精神的自由をもたらすことに繋がります。女性を家庭に縛ることから解放し、また男性を会社と仕事から解放するのではないでしょうか。

私は、夫婦が長い人生を共に生きるためには、そんな平等で自由な自立した関係が大切であることをフランス留学経験で学びました。

男性も家事・育児に主体的になれる取り組み

フランスの女性達が子供がいても働きやすい背景には、男性が家事・育児に積極的で、多くの時間を使っていることがあります。

内閣府男女共同参画局が公表した『男女共同参画白書 令和2年版』によると6歳未満の子どもを持つフランス人男性は平均で1日あたり2時間37分を家事・育児関連に費やしています。

それに対し、同じ6歳未満の子どもを持つ日本人男性は平均で1時間23分とフランス人の約半分の時間となります。

実際に、私がフランス留学中に小学校の送迎に付き添った時、母親と父親の割合は半々でした。

また、彼女達家族と一緒に過ごした時も、朝と夜の食事の支度や子供の世話は、当たり前のように夫婦で一緒にやっていました。休日に奥さんが外出し、パパが一日一人で子どもを面倒を見るのも稀なことではないようでした。

「うちのパパは協力的でありがたいの」と家事・育児に協力的なことが自慢となり、「イクメン」という俗語ができる日本とは全く違い、家事・育児を夫婦で協力し合う体制が特別なことではなく、当然のこととしてやっている様子に驚きと感動を覚えました。

そうしたフランス人男性の家事・育児への積極的な姿勢は、フランスの少子化対策の一環である、男性の育児休暇制度やゆとりある労働環境の整備の成果とも言えるようです。

またフランスには男性にも3日間の「出産有給休暇」制度があります。生まれた後は11日間の「子供の受け入れ及び父親休暇」が取得できます。

父親休暇中は8割の給与保証があり、この休暇を拒んだ場合には雇用主への罰則があります。

この男性の産休は、「パパになるのトレーニング期間」ということで、母親の出産のための入院中は、抱っこの仕方やおむつ替え、沐浴、ミルクの作り方、へその緒の処理などを母親と父親が一緒に看護師に指導を受けます。

こうした時間を産後に夫婦一緒に取ることで、乳児への愛情と父親の責任が育まれ、その後の育児へも主体的に取り組めるよような環境がフランスにはあります。

こうした取り組みが、女性だけに家事・育児の負担が偏ることを防ぎ、女性の就業と出生率が低下することのない、女性達が自由と平等を享受できるフランス社会と成し得たのです。

●フランスの平等で自立した夫婦

●フランスのワーキングママンが安心して働き続けられる理由

●フランスの男性が家事・育児に積極的なわけ

如何でしたでしょうか。

今回は紹介しませんでしたが、国際結婚ファミリーと過ごす中で、実際に見てきたフランス流子育ても、今自分が子育てする中で活かせることが沢山あります。

私がフランス留学で体験して学んできたことは、私の人生に大きく影響を与え、今に活きています。

考え方の一つの引き出しになり、夫婦や家族の関係に留まらず、人間関係をより良くするためにもとても役立っています。

留学がこのような効果を人生にもたらすことになるとは、留学前は想像もしませんでした。

留学は本当に素敵な体験です。不安や心配事で前向きになれないことも時にあるかもしれないけれど、チャンスがあるなら是非チャレンジして欲しいと私は思っています。

想像を超える体験があなたを待っているかもしれません。

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